いまさらだけど「君の名は」の話をまたしたいと思ってます。
公開から7年経って、まだ話題にするくらい
けっきょく好きなんじゃん🙈って感じの作品なのですが。
劇場公開時、初見の時は
「なんでこれ、こんなに人気なの?」ってナナメに見てた人間なんですよね。
絵もきれいだし。ストーリーも悪くないし。なにより音楽がいい。
でもなんでこんなに人気があるのかよく分からん。
って、思ってました(笑)
あとね。
私ちょっと時間とか数字に弱いみたいで、時間軸がズレると途端になんだか分からなくなるんだよね(笑)
だから、それもあったかも。
時間もズレてるし、人格も入れ替わるし。
なんかいつなのか分からなくなるし。
今これが誰なのか分からないし。
なんで最後助かったの?
なんで避難訓練してたことになってるの?
RADWIMPSの曲で、勝手に感動スイッチ入れないでくれるかなぁ。
音楽の力で力づくで「良かった感じ」に高めてない?
って思ってたのです(笑)
今日はその「君の名は」の話を
日本神話から見る考察を語っていきたいと思います。
目次
時間のズレの整理
あらすじ
東京に暮らす少年・瀧(たき)と飛騨地方の山深い田舎町で暮らす少女・三葉(みつは)の身に起きた「入れ替わり」という謎の現象と、1200年ぶりに地球に接近するという「ティアマト彗星」をめぐる出来事を描く。
ストーリーを時系列に並べてみた
私が最初理解できなかったストーリーを時間軸の流れで書いていきますね。
三葉の入れ替わりのはじまり
2013年9月〜。三葉の入れ替わりが始まる。
相手は3年先の未来にいる高校生・瀧。
三葉は2016年の東京を体験していた。
しかし、時間がずれているとは思っていない三葉は、瀧に会うため東京へと向かう。東京を歩き回って、やっと電車内で瀧と出会うが、2013年の瀧は中学生で、まだ三葉のことを知らない。
三葉は瀧に「だれ?お前?」と言われてしまう。
でもその謎の少女が気になった瀧は「名前は?」と聞く、四谷駅で降りると同時に三葉は瀧に組紐を渡す。
ティアマト彗星落下の日
2013年10月4日。糸守では夏祭りの最中。彗星の破片が糸守に落下。町が消滅し、三葉たちは死亡。
瀧の入れ替わりのはじまり
2016年9月〜。瀧は3年前の三葉と入れ替わる。
実際は三葉はこの時にはすでに死亡している。
三葉が亡くなる10月4日を境に入れ替わりが起きなくなる。
瀧、糸守を訪れる
2016年晩秋(11月ごろ?)
三葉に会うために、瀧は糸守を訪れるが、そこはすでに彗星に破壊されていた。
諦めきれない瀧は、三葉の半身でもある口噛み酒を置いた、御神体の場所まで行き、口噛み酒を飲み、三葉ともう一度入れ替わる。
彗星落下の日をやりなおす
目覚めた日は彗星が落ちる2013年10月4日の朝。
三葉in瀧は、テッシーとさやちんに手伝ってもらって避難計画を立てる。
しかし、町長の説得に失敗。
中身が三葉本人でないと説得は無理だと悟り、自分と入れ替わっている三葉に会うため、瀧はふたたび御神体へ行く。
山頂では2016年の瀧in三葉が、破壊された糸守を見て動揺。
カタワレ時
2013年を生きている三葉in瀧と
2016年を生きている瀧in三葉は
生きている時間軸が違うから、姿形が見えない。
でも、声だけが聞こえる。
日が落ちるカタワレ時の瞬間。
人ならぬものと出会える時間に
入れ替わりが元に戻り、初めて二人は時を超えて直接会話することができる。
しかし、完全に日が落ちて二人はそれぞれ元いた世界へ引き離されてしまう。
町民の避難
未来の知識を得て3年前へと戻った三葉は、父の説得に成功する。
(町長室にいた一葉、四葉の加勢も力になっている)
結果、町民のほとんどを救う。
しかし瀧の名前は忘れてしまう。
2021年秋、糸守町への隕石落下から8年。
雪の日、歩道橋ですれ違う。
その後、の春
並走する電車でお互いの姿を見つけて駆け出す三葉と瀧。
四谷の須賀神社の階段で出会い問いかける
「君の名前は?」
「君の名は」の中に隠された神様
アニメって神話の要素を盛り込むことが多いんですよね。
日本神話とかギリシャ神話とか
キリスト教の話もあるし
まあ、そういった「神話」がモチーフになってたり「神話」の要素を入れ込んでたりすることが多い。
そんな中で「君の名は」日本神話の要素がモリモリ入っています。
まあ、主人公三葉がそもそも宮水神社の娘さんって時点で、神道色は強いですよね。
そんな「君の名は」の中には隠された神様がいます。
それは瀬織津姫(セオリツヒメ)です。
監督自身がツイートされているように、主人公三葉の名前の由来はミヅハメという神様で。
このミヅハメという神様は瀬織津姫と同一神だとされる代表格の女神です。
っていうか、瀬織津姫ってだれ?って感じですよね。
古事記・日本書紀には出てこない神様なんですが、ここ数年でぐいぐい注目が集まってる女神です。
(「君の名は」の効果が多大な影響を与えてると思うけど)
神探しの代表的なアニメ「千と千尋の神隠し」
日本の神様が隠されてるアニメの代表といえば『千と千尋の神隠し』ですよね。
千と千尋の神隠しに出てくる美少年「ハク」は湯婆婆に名前を奪われて、本来の力を失っていた人物。
そのハクの名前はなんだったかというと、「ニギハヤミコハクヌシ」
この名前は
「ニギハヤヒ」という神様をもじってつけたとしか思えない名前なんですよね。
ニギハヤヒはどんな神様かって言ったら
こちらは古事記にも出てきます。
日本の初代天皇は神武天皇ですよね。
その神武が日本を統治しよう!と、高千穂の方から大和を目指して来た時に、先に大和を支配してた神様がニギハヤヒ。
先に大和を統治していたニギハヤヒと大和を奪おうとしていた神武。
争いが始まるのかと思ったら
ニギハヤヒは「アマテラス様の子孫ですか!もちろんお譲りします」
ってすんなり大和の地を譲ったというストーリーなんですよね。
謎過ぎない?
後の大和政権が、自分のとこの正当性を伝えるためにまとめた神話が古事記・日本書紀なわけで。
都合よく書き換えることだって可能だよね?とか思っちゃう場面のひとつです。
大和をとらないと、日本を統治したことにならない。って思って、大和にやってきたのが神武一行。
その神武一行が来る前に、大和の地を治めてた王がいたってことだよね?
それがニギハヤヒなんだよね?
・・・前にあった王朝のこと隠してない?
そして、その神武の前の王朝でニギハヤヒは「天照神」の称号を持っていたと、言っている書物もあります(正式な歴史書とは認められていませんが。その名はホツマツタヱ)
私たちの感覚だと天照大神は女性だというイメージですけれど、時々ふわっと「天照は男の神様だったんだよ〜」って聞くことがあったりしますが、その由来はここです。
そしてそんな隠された神「ニギハヤヒ」の正妻が瀬織津姫なんです。
と、古事記には書かれていませんが、ホツマツタヱにそう伝わっています。
そう。
「君の名は」で
三葉の名前の由来となったミヅハメと同一神だとされているあの瀬織津姫です。
瀬織津姫の名前は古事記・日本書紀には一切出てこない神様で「消された女神」として急激に有名になっているんですよ。
神社とかでね、瀬織津姫が祀られている神社はあるのよ。
だけどそれも名前を変えられて、瀬織津姫の名前で祀られてるところはそう多くはないらしい。
そんな謎が多くて、重要そうな神様の名前秘めているのが「宮水三葉」。
そしてその映画のテーマ(タイトル)が
『君の名は』
って!!!!
神様、めっちゃ探されてるじゃん!
君の名はなんて、後半ずっと名前を問うてる物語だからね(笑)
消えていく名前を
記憶から消えていこうとする名前を
なんとか絡めとってどうにか繋がろうとする三葉と瀧。
消された女神の名前が、この映画によって一部の層には強固に刻まれたその名前『瀬織津姫』
これは妖しい魅力をもった映画だとは思いませんか?
「名前」を奪われると力を失う神話のお約束をモチーフにしたストーリー
でね。
「千と千尋の神隠し」も名前を奪われる物語なんだよね
古来日本では本名を知られると操られると信じていた。
だから、相手を呼ぶ時は役職名で呼ぶのが礼儀だったわけですよ。
「関白」とか「内府」とか「筑前守」とか「頭中将」とか「前右府」とか
今でも天皇は「天皇陛下」「陛下」「今上陛下」としなければいけないという感覚と同じ。
みだりにその人の名前を呼んだりしないんですよ。
その大事な本名をハクは、湯婆婆に奪われて本来の力を発揮できなかったんですよね。
でも千尋が幼い頃助けてくれた川の神だと思い出して、コハク川そのものだと気づいて、彼は本来の力と自身の名前を取り戻した。
「ニギハヤミコハクヌシ」だと。
その名前に隠された神は
神武天皇の前に大和を統一していた王の名前。
そして「千と千尋の神隠し」の15年後、公開された「君の名は」に隠された神様は
ニギハヤヒの皇后だったと言われる瀬織津姫なんですよね。
ヒット映画のそれぞれに隠されてる神様がなにやらちょっといわくつきな古代王朝の王と皇后って。
なにか勘繰らずにはいられない組み合わせですよね。
舞台に選ばれた「飛騨」から探る
三葉の名前がミズハノメからきていることもそうだけれど、
この作品で彗星が落ちる舞台として、新海監督が選んだ飛騨には、神々が最初に降り立ったといわれている位山と言われる山があるんです。
(神降臨の地はいろんな場所にあります)
そして位山は巨石遺跡がいくつかあって、位山そのものを御神体であり奥宮という扱いにしている「飛騨一宮水無神社」という神社があるんですね。
「君の名は」で三葉が生まれた宮水神社も
御神体は山そのもので、そこのクレーターの中には木が生えている巨石があったんですよね。
三葉が生まれた神社は宮水神社。
位山を御神体とする神社は飛騨一宮水無神社。
飛騨一宮水無神社
「宮水」という文字が隠れてるんですね。
そして、位山にも巨石がいっぱいあって、天岩戸だと言われている岩もありそこからなぜか木が生えているというすごく神秘的な岩があるんです。
その姿が君の名はに出てくる御神体とそっくり。
これは新海監督飛騨一宮水無神社の要素を取り入れたのでは?って思いますよね。
飛騨一宮水無神社の御祭神から探る神様
そして飛騨一宮水無神社の御祭神は
御年神(みとしのかみ)です。
聞いたことないですよね(笑)
そしてほかにも14の神様が祀られていて
その中にアメノホアカリ、高照姫という神様がいます。
このアメノホアカリはニギハヤヒと同一神で
高照姫が瀬織津姫と同一神だという説があります。
そして御年神はニギハヤヒと瀬織津姫のお子さんだ。という説があるんですね。
なんせ隠されてる神様だからそんなこと記紀は明記されてないんだけど
いろんな古史古伝や神社に伝わる伝承なんかを紐解いていくと
A=S
B=S
ということは
A=Bだ!
みたいな証明の仕方で
高照姫=瀬織津姫ということが導き出せるみたいです。
ともかく、
宮水神社の名前をとったと思われる
実際の神社の主祭神が
ニギハヤヒと瀬織津姫の子供って!
めちゃめちゃ瀬織津姫とニギハヤヒを匂わせてくるじゃん!って感じですよね。
そして宮水神社の巫女舞をしていた三葉と四葉の髪飾りや神具に龍がついていたことから、宮水神社は竜神信仰の神社だと予測されますが、
瀬織津姫は水や滝の神様。
そして白蛇や白龍の化身とも言われている神様なんですよね。
陰陽の統合のお話
ここまでずっと「瀬織津姫」ベースでお話ししてきましたが、「君の名は」は陰陽の統合のお話でもあるんですよ。
男と女
都会と田舎
放任としがらみ
男の魂(陽)が女の体(陰)の中に入り
女の魂(陰)が男の体(陽)の中に入る
陰陽の統合を物理的に(本来できないはずの方法で)行ってますよね。
なんでそう思ったかって言ったら
町長室に「陰陽」のポスターが貼られてるって情報を見た時。
たしかに貼られててね、一瞬だから意識して見てないと見逃すんだけど
こんなにもアピールしてきてるってことはこの映画のテーマのひとつはやっぱり「陰陽の統合」でしょう。
と、思ったところで、しばらく疑問だったことがひとつ解消したような気がしました。
それは「なぜラストのシーンで三葉と瀧は須賀神社で出会ったのか」問題です。
ここまで、神社や神様にこだわりを入れてきてる新海監督なんだから、ラストに二人が出会うあのシーンにもなにかしらのこだわりがあるんでしょう。ここも神社だし。って思ってたんですが、これといって理由が見つけられなかったんですよね。
須賀神社の御祭神はスサノオ。
ニギハヤヒの父親であるという説がありますが、それ以外にこれといった匂わせに感じるものがない。
まあ、ニギハヤヒの父親ってことは、そもそも日本を統治してたのはアマテラス系の神武ではなくスサノオ系の神様では?という匂わせと言えなくもないけれども。
うーん。まあ、須賀神社のあの階段の見た目が良かったのかな。ってところに落ち着こうとしてたところに、この陰陽統合論を知ったわけです。
陰陽統合のお話しがあって、四谷のあの辺が出会いの場所になった理由はアレかな、と思い当たるのがひとつありまして。
それが、山手線結界説(笑)
都市伝説話でそれを聞いた時には
いやいやいやいや、さすがに無理やりでしょって思ったのだけど。
山手線って円でしょ?
そこを横切るようにちょっと曲線描きながら中央線が走ってるでしょ?
それを見てるとある特徴的な図になりませんか?
っていう話でね。
陰陽の図になるんですよ。
で、どっちが陽でどっちが陰かは分からないけど
この図で言うと陽の中の陰のところが、皇居で。
皇居を守るために結界をつくったって、都市伝説があるのよ。
いやいやいやいやって感じでしょ?
まあ、「そんなこと言ってる人もいるんだなー」って思って何となく受けいれつつ続きを聞いてくださいよ。
で、この図の陰の中の陽の部分にあたるのが新宿歌舞伎町と言われたり、四谷と言われたりしているんですよね。
ね!
だから陰陽が統合するスポットにある
四谷の須賀神社を2人が出会うポイントにしたのかなーって。
こじつけだけどね(笑)
でも宮水神社とか位山とかあんなに瀬織津姫ゆかりの場所を匂わせてくるなら、ラストの出会いの場所も何かあって欲しいじゃないですか!(笑)
国産みの儀式を彷彿とさせる出会いのやり直し
でね。
ラストシーンで、階段の上から三葉が降りてきて
下から瀧くんが上がっていって、
瀧くんから「あのっ!」って声掛けて、初めて2人が現世で出会えたでしょ?
あれもちょっと日本神話を連想させるものがあるなぁと思っているんです。
それが、イザナギとイザナミの国産みのシーンなんだけど
古事記において、イザナギとイザナミが子作りするとき最初の2回失敗してるのね。
大きな木をくるりと回って出会い直して声をかけあって結ばれるっていう儀式をするんだけど、その失敗した2回は女のほうから声をかけちゃうのね。
それが失敗の原因だって偉い神様に教えられて
3度目は男のほうから声をかけて子作りに成功するって話なんだけどね。
(なんで女から声をかけちゃいけないんだよっ!っていう指摘はごもっともなんだけど。そういう話だからさ💦)
で、瀧と三葉も出会いに失敗してるんだよね。
一度目は電車の中で、
三葉から声をかけたけど「誰?お前?」って言われちゃう。
(滝にとってはまだ入れ替わりが起こってないから)
二度目はカタワレ時の山の上で
あれもお互い見えてないもの同士がすれ違う様子が、国産みの「大きな木」をくるりと回って出会い直すっていう描写と少し重なるとこがあるんだよね。
で、あの場面でも、あの場面はカット割りによって意図的に三葉のほうから「たきくん、そこにいるの?」って声を掛けてる感じになってるんだかね。
(意図的にそう見えてるのはそう見たい私の邪念が入ってるかもしれない(笑))
その結果、出会えたものの、泡沫の夢のように消えてしまう。
この時会えたのがカタワレ時
昼(陽)でも夜(陰)でもない時間に
陰陽統合して
三葉in三葉と瀧in瀧が生身の人間として出会ってるんですよね。
その後すぐ消えちゃうわけだけどね。
そして最後、須賀神社では
上から三葉
下から瀧くんが歩いていって、
一度通り過ぎて
上に行った瀧くんだ振り返って
瀧くんから、男性側から「あの、俺君をどこかで」って声をかけたことで
出会い直しに成功しているのでは?!
って見えてくるんですよね!!!
参考動画とおすすめ小説&Blu-ray
ということで、映画「君の名は」を日本神話から読み解くという試みをしてみました。
ここに書いた大半はTLAND VLOGというYouTubeチャンネルで考察・解説している内容となります。
ぜひ、そちらの方もご覧ください。
沼にハマりますよ
ちなみに今回これだけ長々と語ったけど、映画とは別ストーリーで裏話が描かれている小説があります。
君の名はが好きな人はこの小説はぜったい読んだ方がいい。
あと、私が音楽で感動するタイプの人はこのBlu-rayおすすめです。
映画のストーリーとかどうでもいいんだよ。音楽が聴きたいんだよ。
って人はこれで満足できます。
ええ、私です(笑)
こちらもどうぞ